久しぶりに食べ歩き男らしいことを書いてみよう。
来月頭に創刊される「ミシュラン東京(正式名称失念)」についての一考察である。
ミシュラン(Michelin)とはフランスのタイヤメーカーだか、タイヤの普及のためにヨーロッパを中心としたロードマップを発行し、いまや地図の代名詞でもある。
また、単なる地図では他と差別化ができないという発想から、そこに観光やレストラン・ホテルガイドの要素を加えた本も発行した。
特に赤本と呼ばれるレストラン・ホテルガイドは100年以上の歴史を持ち、星の数で示される評価の信頼度は絶大。星の数が減って格下げとなったことを悔み自殺する料理人まであらわれるぐらいなのだ。
かく言うぼくも、真っ赤なミシュランガイドを抱えて、フランスやイタリアを何度も旅したものである。
そのミシュランガイド東京版が来月創刊される。
レストランオーナーも食べ手側も大注目、かつセンセーショナルな出来事。
シェフも料理編集者も皆、一喜一憂。
ところがぼくは、そこに大いなる疑問を感じ憂鬱なのである。
記したとおり、ミシュランとはタイヤの販促のために作成され、それを見ながら旅することを基本として発行されたガイド本である。
加えて言うなら、ミシュランレストランガイドの最高ランクである三ツ星とは「わざわざその店に行くためだけに旅する価値のある」と示されている。
つまり、外国(特にフランス)から日本に訪れ食事をする皆さんのために発行されるべきガイドだとぼくは思う。
ところが、ミシュラン東京とは、
1.文字通り、東京限定のようである。
2.残念ながら日本語・英語版のみで、フランス語版は発行されない。
との方針で、本来のミシュランガイドが持つ高邁なコンセプトはいずれも踏襲されていないのだ。
特に、フランス発のガイドでフランスで継承されてきた採点方式を取り入れているにもかかわらず、フランス語版は出版されない。
ヨーロッパの国々では、基本的に母国語でしか発行されていないので当然と言えるのかもしれないが、多くの日本の料理人は、フランスの基準で評価するならフランス人にこそ読んでほしいと思っているだろう。
となればこの本、本国フランス人に読まれると実は恥ずかしい、いや読んでほしくない内容なんじゃないの、と邪推もしたくなるのだ。
そんな観点から、「ミシュラン東京」をこう位置づけてみた。
東京という不可分所得者層が集まる巨大市場を狙う、フランス発レストラン日本支店の販売促進。
つまり、現在もそしてこれからも止めどなく流入してくる、フランスに本店があるレストランの日本店を応援するためのガイドブックである。
とすれば、フランスの有名シェフ「アラン・デュカス」や「ピエール・ガニュエール」らの東京店は間違いなく高評価であろうし、本国寄り(というか、本国の店の東京での販売促進)評価をフランス人に読まれるのは恥ずかしい、という点も理解できるのだ。
由緒正しい「旅行カバン」であるルイ・ヴィトンが日本の婦女子にアクセサリーとして持たれることも、他国での商売ならばオッケーとする、いかにもフランス人的な発想と思いませんか。
そんなフランス人の戦略に躍らされている日本人も相当恥ずかしいんだけどね。
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